1000の小箱展

How many/高橋 理乃・高橋 佳乃カンカク大賞ジュニア部門
How many/高橋 理乃・高橋 佳乃


発見!小人いす/村田 佳彦準カンカク大賞
1000/松崎 功二


1000/松崎 功二 準カンカク大賞
発見!小人いす/村田 佳彦

第3回 1000の小箱展 (2005年)

該当なし

How many/高橋 理乃・高橋 佳乃

発見!小人いす/村田 佳彦
1000/松崎 功二

ギブミーチョコレート②/菊池 冨美恵

時間/荒川 恵子

こころ/北條 達也

引き出しの中のトロールたち/杉山 しげ行

accumulation life(ツモルライフ)/福士 幸子

「ゴジラだ!にげろー!!」/松尾 佳紀

日本/金谷 絵梨

万菓鏡(Kaleido sweets)/岸波 葉子

あなたは○○○○○○人目の訪問者です!/鍜冶 文枝

Natural-born/木村 武司

豆つかみ/中川 沙希

UNTITLED!/MARYAM RASHIDI
共存/寺島 亜希子

apartment/野沢 夕記
「活たれ皿」青白磁イカ⇔マグロ、白磁ハート⇔カニ/岩田 賢

がらくた農場/鹿野 牧子 

ゾウのじかん/我虫 月魚

 

Soohyun Walking in forest/Soohyun,Bae

フクワライ/中村 友美 

海の宝物袋/福島 絵里子
これは何?/福島 歌奈子

現代版 枕草子/青木 みさき

「絵本の国」/中野目 映水
「ボサツ」/横山 一光
丸輪/野田 梨沙

宮城県立拓桃養護学校
エーレ・エーラ/尾形 岬
無題/守屋 香
NO WAR/佐藤 脩・武田 泰彰
無題/太田 花奈子・奥山 沙也加  

あったかいおうち/板垣 純花
ぼくのたいせつなもの/澤田 万尋
ゆかいなエンピツたち/浅野 和真・阿部拓磨・遠藤 儀和

ボクタチノチキュウ/飯田 波喜
右足の行進/今野 明奈

BABY`S CAKE/主藤 美加
ボンババー/村上 春香

六角 鬼丈六角 鬼丈
建築家、東京藝術大学建築科教授


 1000の小箱展は3回目を迎えた。毎年、応募者の手の込んだ作品が引き出しに詰め込まれて充実していく様子が伺える。閉じていると白木の均質な引き出しが積み重なっているだけだが、もし、中を透視できたら、作品たちがひしめき合う饒舌な世界が見えるだろう。
鑑賞者は、一つ一つ引き出すと言う手続きがいるのだが、それが「出会い」の感性を刺激し、一つ一つのメッセージを読み取る気を起させてくれる。
今回のグランプリは、優劣つけ難く、はじめて2点になってしまった。
「1000」は小粒なスチールの球を指先でまわしながら タイポロジーのように思いの絵を描いて行き、指先の感触はジャリジャリ鳴る音と共に五感をくすぐる。まさにこのミュージアムにうってつけの作品だ。
一方、「発見!小人いす」は、角砂糖を加工して漆を染みこませて固める、なんとも可愛らしいイスたちだ。触りたくても触れないマニアックな毒気が、視覚のみならず嗅覚や味覚を刺激してくる。
他にも魅力的な作品も多い。柔らかな和紙で作られた白いきのこや思い出深い布が肩を寄せ合っている作品など、感性や技術にたけたメッセージが次々と目に飛び込んでくる。
子供たちの出品も数が増え、審査会はおもちゃ屋にいるように楽しく、また、海外からの応募作品が増えてきたことは嬉しい出来事だ。
これからも、小さな作品たちが繋ぐ「新たなコミュニケーションの世界」が築かれていくことを期待したい。

村上 タカシ村上タカシ
美術家・国立大学法人宮城教育大学教員
・NPO法人ARDA副代表


 自分の居場所はどこだろう?
家の中、学校、会社、まちの中と様々な場所に身を委ねているが
他者を意識せずに居られる場所は意外と少ない。

また、美術作品というと額縁に収まった仰々しいモノを想像しがちであるが
現代の表現は多様である。
20世紀型の芸術表現を視覚を通してのビジュアルアーツと身体表現としての
パフォーミングアーツに大別するとしよう。いかにこれまでの美術館や教育の
現場が網膜的な作品に偏っていたかが分かる。
宮城県岩出山の「感覚ミュージアム」の五感をテーマに未来を見据えた
コンセプトは素晴らしい。そこには従来の美術という領域を超え福祉や教育、
医療、環境、まちづくりにも繋がる可能性を秘める。

その様なユニークなミュージアムで行われている「1000の小箱」という
参加型のアート展に今年も多数の作品が全国から送られてきていた。
「1000の小箱」自体が六角鬼丈氏の作品ではあるが子どもからお年寄りの方まで 国内のみならず海外からの応募もあった。
引き出し型の1000個の小箱は表からは何も見えないが引っぱり出すと
現れる仕組みである。他者との出会い、すなわち引っぱり出された瞬間に
それは作品となる。

様々な感覚をテーマとした
大変細かな細工で時間をかけた作品や家族での写真による協同作品、
また子どもたちの想像力あふれるユニークな作品も多く、
創ることの楽しさが伝わってきた。
その人にとっては価値のある家族の思い出としての服のコラージュなど
もあった。

自分の机の引き出しの中に他者には気づかれないように大事なものを隠した
こともあるだろう。
引き出しの中の限られたスペースでの自分の居場所づくりでもある。
そこに行くと自分の宝物があるという美術館と創り手のコラボレーションと
なっている。鑑賞者から創造者へシフトさせていく装置にもなるだろう。

これまでの美術館の役割は美術家の「晴れの舞台」か「墓場」のようであったが
アートの「誕生の場」に変える試みにもなっている。

「1000の小箱」から生まれるアーティストと
全国でも初だと思われるがNPOで運営されている「感覚ミュージアム」の
継続した取り組みにも期待したい。

Kate Tomson ケイト・トムソン

Kate Tomson ケイト・トムソン
彫刻家


 The Kankaku Museum is a wonderful alternative to the "Do not touch" signs found in many museums, and others` claims to be 'interactive' while reducing spectators participation to passively choosing the direction of virtual pre-programmed options.
The Kankaku Museum itself is a work of art which comes to life in the creative action and imagination of the visitor.
Here both the architecture and the exhibits invite every visitor to employ all their senses, using their whole body to feel the light, space, scale, textures, sights, smells, and sounds to discover their own sensual, aesthetic, emotional and intellectual responses and ideas.

Although most of the exhibits are permanent installations by professional architects, designers and artists the gallery of 1000 drawers is open to anyone who submits an art work.
The act of opening individual drawers and being able to handle the works they contain has an intimacy usually impossible in a public museum, or a group exhibition.
Looking at each piece in its own space one can find: a delightful surprise, a friendly clich?, a privately shared secret, an empathetic memory, a challenging new toy, a confusing enigma, and often a sense of being shown something personal and tangible.

This year professional and amateur artists of all ages and cultural backgrounds provided fresh and honest explorations of varied themes. Some responding to the associations of a drawer, several to our relationship with the environment, or astute observations of self and society. It was fascinating to see so many imaginative works. I felt quite sad that our job was to choose prize winners as they were all commendable.

I would like to thank Rokkaku sensei and his colleagues for creating the museum, its Director Keiko Chiba for making it accessible to a very wide range of people, and all those who sent in art work to further extend the huge attraction of this innovative place.

 感覚ミュージアムは従来の型にはまらない素晴らしいものです。世界中の数多くの美術館は「触ってはいけない」という表示があります。また、「体験型の展示」といっても来館者が参加できる部分が皆無に近い美術館もあるのです。
感覚ミュージアムはそれ自体が来館者の創る行為や想像力によって活き活きとする芸術品です。
ここでは、建築も展示も来館者自身の感覚を全て使うように促しています。光、空間、手触り、視覚、嗅覚、音などを感じる為に全身を使う事で、自分自身の肉体的、審美的、感情的、そして知的反応や発想を発見できます。
大部分の展示がプロの建築家や作家によって常設されています。しかし、1000個の箱のギャラリーには作品を応募すれば誰でも参加できるのです。
それぞれの引き出しを開けて中に入っている物に触れられる事が素晴らしいのです。公の美術館やグループ展ではなかなか出会えない親密さがあります。それ ぞれの作品から嬉しい驚きや素敵なメッセージ、大事な思い出、挑戦的なおもちゃや引っ掛けられるなぞなぞなど。そしてしばしば何か個人的なものに触らせて もらっているような気分にさせられます。
今年は、あらゆる年齢や文化的背景のプロの芸術家やアマチュアの芸術家が、さまざまなテーマの新鮮で独創的な作品を作り出しました。引き出しから連想し たり、環境との関係を形にした応募者も多く見られました。あまりに多くの創造的な作品があり、うっとりとしてしまいました。全ての作品がとても素晴らしく て授賞者を決めるのがなかなか難しかったです。
このミュージアムを作っていただいた六角先生、そしてアーティストの方々にお礼の言葉を差し上げたいと思っております。また、幅広い層の人たちが参加で きるようにさせていただいた館長の千葉啓子さんにお礼を申し上げます。最後に作品を応募して下さった参加者の皆様にもお礼を申し上げます。このような方々 のお陰で感覚ミュージアムの大きな魅力がさらに広がる事でしょう。

 
1000の小箱展TOP
Alt text
第4回 1000の小箱展
Alt text
第5回 1000の小箱展
Alt text
第6回 1000の小箱展
Alt text