1000の小箱展

「Family」/松枝由恵カンカク大賞
「Family」/松枝由恵

私の部屋/川嶋真央カンカク大賞ジュニア部門
私の部屋/川嶋真央


ゆらゆら/東山 ゆかり 準カンカク大賞
ゆらゆら/東山 ゆかり

第6回 1000の小箱展 (2012年)

「Family」/松枝由恵

私の部屋/川嶋真央

ゆらゆら/東山 ゆかり

BonBon network/幸田 大和
空人 -sorabito- 青空のように/由上 恒美

マタアウ日マデ/金井 桂男

カーニバル/丹野 智子

よろこびとかなしみはにじのよう/福永 純子

石の言葉 -Language of stone/小野 さやか

田植え/浜本 七夢
観察者/松村 香奈子

ニワトリの家族らしい/鎌田 潤一

作品Ⅰ/大澤 杏実

極楽?地獄?/佐野 邦巳子

神代に現われたUFO/後藤 幸雄

barrier/脇田 篤志
BIG FISH LITTLE FISH GRID/PATRICIA WILSON-ADAMS

静かな深夜/山口 泰生

1本のりっぱな木/真島 奈実樹

お菓子の世界のおかしなパーティー/赤井 結
クワガタ/高田 友寛
蛇口から…!?/高橋 優里花
おまつりにきた どうぶつたち/真島 小杜実
「月のバレリーナ」/森本 楓

六角 鬼丈六角 鬼丈
建築家、東京藝術大学 名誉教授



 昨年は東北大震災時にみまわれたが、幸いにも、このミュージアムは地震の被害はほとんどなく、直ぐに再開された。そして今年も、「第6回1000の小箱 展」が公募され、一般部門187点、ジュニア部門90点の作品が集まったことはありがたい。 毎回のことだが、多くの応募作品を一覧し、一つ一つを覗きこみながら巡る審査の時間は徐々に集中力が上がり、面白さや感動をみると、まるで記憶装置のよう に頭の中に新しい引き出しがつくられて行く。 今回、3人の審査員が最も興味を持った作品は家族をテーマにしたこけし人形である。親子姉妹の姿をよく見ると、口の脇や鼻から血が流れてきている。目が腫 れていたり、みんなどこかが傷ついている。ユーモラスだが、深刻な一面も思わせる。色々なことを想像させながら家族関係を暗示しているのが、実に面白い。 仕事も丁寧で秀作である。ほかの作品にも興味をそそがれるものもあったが、例年より、凝り性やオタクが減ってきているように思えた。 また、今年も海外からの応募が数点でもあったことはありがたい。海外からの作品は実にまじめなものや日常的なものが多く、丁寧に作られていても、引き出し の中の特別な世界では感動に欠けてしまうのが残念。日本人とは楽しみ方が違うのかなと思う。近々、海外で小箱ギャラリーをつくり公募して、感覚ミュージア ムの世界の仲間を増やしてみたいと考えている。

蜂谷 和郎蜂谷 和郎
彫刻家



部屋に入るとそこにある作品群が圧倒してきた。ここで負けてはならぬと作品を見ながら部屋を3周4周と回ってみた。周を重ねてゆくと気にかかる作品が増えてゆく、何回まわってみても何か気にかかる、どうしても頭をよぎる作品。
気になる作品に共通しているのは作者のこだわりと、見た目の心地良さが程よいバランスで保たれているように思われます。入選作品は見ていると、作者が楽し んで夢中になっている様子が見えてくるようでした。特に大賞作品はじっと見ているといろいろな物語を感じることが出来、時間を忘れさせてくれました。
一般部門では素材の質感を意識された作品が目立ちましたが、質感と表現の釣り合いバランスよく取れていて、素材の魅力に頼り過ぎずに作られた作品は見ていて心地よさを感じることが出来ました。
ジュニア部門ではうまく作ろうとするのではなく、作者が感じたことを素直に出し切っている作品が見ていて爽快感と元気が伝わってきました。
全体的には作者の制作している時の顔が浮かんでくるようなピュアな作品が多かったことがとても印象的でした。

奥村 理絵

奥村 理絵
建築家



 感覚ミュージアムに寄ると、ずらっと並んだ引き出しを眺めて、おみくじを引くように開けてみることをひそかな楽しみとしていました。そっと引き出された箱 の中に広がる作品の世界にひたる楽しさが、他にはない体験だからなのでしょう。 ですから今回、1000の小箱展の審査員に呼んでいただき、とても光栄に感じるとともに、全国から寄せられたたくさんの作品に会えることを楽しみにしてい ました。 多数の力作の中で大賞に選ばれた「Family」は、家族6人のこけしが並んでいる作品です。じっとみていると、彼らが動き出してしゃべったりケンカをし たり、まるで生きて動いているかのような情景が思い描かれます。彼ら6人がくりひろげる世界の喧騒が聞こえる、そんな創造力をかきたてる手ごたえのある作 品でした。 「田植え」は繊細で構成もシンプルなのですが、そこはかとない緊張感がみなぎっていて引きつけられました。しんと静まり返った中にかすかに人の痕跡、息遣 いを感じる作品だと感じました。 「私の部屋」は、目の前の現実の部屋がいつのまにかファンタジーの世界に移行しているような独特の空間ができあがっていて、一冊の絵本をよんだような感覚 になりました。 まだまだ沢山の印象深い作品がありとてもここでは書ききれないのですが、それぞれの作品は、私たちをその作品の世界に引き込んでくれる魅力にあふれたもの であったと思います。また、感覚ミュージアムに行ったときに、引き出しを開けることを楽しみにしています。

 
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第7回 1000の小箱展
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第8回 1000の小箱展
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