感覚ミュージアムみちくさ部
道端に生えている野草を摘んで食べる、感覚ミュージアムのみちくさ部。
台風が近づいていた為、雨の降る中での開催となってしまいました。
会場は感覚ミュージアムから少し離れて、NPO法人しんりんが管理されているエコラの森をお借りしました。こちらの場所は放置されて荒れた森林を間伐や植林などをして少しずつ整備されていて、敷地内にはコテージがあったり常設のテントがあったりと、野外活動には最適な場所です。
出発前にコテージ内で今回の講師の長澤さんから、毒草の特徴や山ビルなどへの対処法、摘み草のマナーなど、フィールドでの注意事項のレクチャーを受けました。今回のルートは険しい森ではありませんが、普段何気なく目にしている植物が、実は毒草であったり、摘みすぎて植生を荒らしてしまうこともあるので、専門家による事前のレクチャーは大切です。
この日の参加者はご家族で参加していただいたお二人。
雨は若干弱くなりましたが、合羽と長靴のフル装備での摘み草です。
食べられる野草として定番のヨモギはカルシウムが豊富で、骨粗しょう症の予防に良いそうです。
腎臓形の葉は香りの良いカキドオシ。葉が3枚に分かれているのは野イチゴで周りにドクダミも生えています。
中央の葉っぱの大きい植物はタケニグサ。汁に触るとかぶれる恐れがあるいわゆる毒草ですが、竹を加工する際に一緒に煮ると縦に割れにくくなるそうです。毒草と言われている植物も薬や加工で利用されてきたものも多いので、毒の性質を正しく理解していれば必要以上に怖がることもありません。今回は食べられる野草を探しているのでスルー。
時期的に花はないかもしれないと話していましたが、アザミやキク科のヨメナやヒメジオンなど利用できる花がまだまだ残っていました。黄色いマツヨイグサの花もたくさん咲いていたので採取。
下見の際に見つけた朴の木が今回のゴールです。朴葉寿司や朴葉みそなどに利用される朴の葉っぱ。でかい!朴の木の周りで少しカキドオシなどを摘み、コテージに戻ります。雨も強くなってきました。
さて、コテージで摘んだ野草を調理していきます。
まずは野草ホットケーキから。アザミ、アカツメグサ、ヨモギ、カキドオシ、エノコログサの実などをのせて焼いていきます。
焼きあがった野草ホットケーキは長澤さん特製のハマナスのジャムでいただきました。エノコログサが香ばしかったり、カキドオシがさわやかな香りだったり、ヨモギの風味が生地の甘さと絶妙にあっていたりと、食べる場所によって違う味が楽しめて、想像以上においしくいただけました。
今回は摘んだ草花の他に、講師の長澤さんがご自分で加工された実や野草を持ってきて下さって、朝に下準備をしておりました。
こちらはその時のマタタビの実の塩漬けを椿の葉を使って塩抜きしている様子。椿の葉を加えることで塩が抜けやすくなるのだそうです。
その他に、乾燥させたエノコログサ(猫じゃらし)を袋の中に入れてすり鉢で叩いて実を落としたり、敷地内で取れたクルミでクルミ味噌を作ったり、ギシギシのお吸い物などを事前に準備しておりました。
ホットケーキに加えたのもこちらのエノコログサ。猫じゃらしが食べられるなんて初めて聞いたときは驚きましたが、粟の原種なので歩留まりが悪いだけでりっぱな穀物なんですね。
小豆の原種のヤブツルアズキはレンジで加熱していただきました。こちらもエノコログサ同様、小さくて歩留まりは悪いのですが、味は豆そのもの。
しんりんの職員の方が、熟した実でお汁粉を作るとおいしいという情報をネット上で見かけたらしく、非常に気になったので機会があればチャレンジしたいです。
野草調理の定番の天ぷらは、摘んだものを各自揚げていただくスタイル。
ヨモギのつぼみや葉、カキドオシ、オオバコなどを揚げ、長澤さんが事前に作ってくださったカキドオシ塩を付けていただきました。
ヨモギのつぼみは生で齧った時にはホップのような爽やかなほろ苦さを感じたのですが、揚げてみると何の特徴もなく、ただただ茎が硬かったので、調理法を変えたほうが持ち味を生かして食べれそう。他の葉っぱは香りが良く、野趣に富んだおいしさです。
鞘事食べれれば調理の幅が広がりそうと、ヤブツルアズキも揚げてみましたが、繊維が硬くてとても食べれませんでした。
エノコログサも毛を焼いて揚げてみました。実は香ばしくて美味しかったのですが、やはり茎が硬くて口の中に残ったので、食べ方に工夫が必要です。
こちらも長澤さんが別の場所で採って用意してくださったアケビの皮。天ぷらにして下準備の際に作ったクルミ味噌を付けていただいたのですが、トロトロの触感とほろ苦い後味がコクのあるクルミ味噌に合い絶品でした。美味しんぼの山岡さんに教えてあげたいくらいです。
昼食が野草だけでは物足りないので、鳴子の米プロジェクトさんにゆきむすびのおにぎりを注文しておりました。野草は苦みや癖のあるものも多いので、お米の優しい甘さが丁度良かったです。
食べている途中で撮ったのでほとんどギシギシが写っていませんが、ギシギシのお吸い物は、お麩と菊を加えていただきました。ギシギシは肉厚でとろみがあってのど越しが良く、変な癖もないので、野菜として常食できるくらいでした。
食後はバタフライピー茶、クロモジ茶などを入れていただきました。鮮やかな青色のバタフライピー茶にゆずの皮の砂糖漬けを加えていただいたのですが、青色がほんのり紫に変わり、見た目も華やかなお茶でした。
写真でご紹介した他にも、マツヨイグサときゅうりの和え物やむかごのバター炒めなど、道端や里山を少し歩けば手に入る身近な自然の恵みをおなか一杯いただきました。
次回のみちくさ部の活動は4月中旬の予定ですので、今回参加できなかった方や興味を持った方は是非、春のみちくさ部にご参加ください!