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香りの演出

吉武利文


1955 東京都出身 慶応義塾大学文学部哲学科美学美術史卒業
1981 香りの教室「クチュール パルファン スクール」入学 インストラクター 調香師 島崎直樹氏に師事
1983 川上智子氏と「きゃら香房(株)」設立
1993 退社 フリーとなる
スーパーミュージカル「源氏物語」の香りを演出 
1995 富山県立山博物館野外施設「まんだら遊苑」の香りの演出
1997 香りのデザイン研究所設立
21世紀に向け、香りの演出、企画を展開
2001 三上賀代独舞『非時香果』の香り演出
2006 とりふね舞踏舎『鬼燈』

著書
「匂いの博物誌」リブロポート
「香りを楽しむ」丸善ライブラリー
「橘」法政大学出版局

人間の五感の中でも嗅覚で感じる匂いや香りは、目に見えないものであり、不確かで曖昧な存在かもしれません。 しかし不確かな故に私たちの日常生活に潤いを与え、豊かなイマジネーションをかきたてるものであります。 感覚ミュージアムにおいても、随所でこうした匂いや香りを体験していただけるように計画しています。 特に岩出山の四季折々の自然の中の匂いや香りをイメージしたものが多くあります。 「灯台基暗し」といいますが、案外自分の住んでいる町の匂いや香りは、あまりにも身近で気がつかないものです。 感覚ミュージアムでの嗅覚体験を通して、岩出山の自然の豊かさの再認識ができたらと思います。 また現代という時代は、物質文明の発達により、自然の中で生かされているという人間存在の本来の姿を見失ってしまったところに、様々ないき詰まり現象が起 こってきているように感じられます。 自分が生きる以前にいかされているという実感は、理性だけでなく感性、感覚によって得られるものです。そこに嗅覚のような原始的な感覚の今日的な意味もあ るのではないのでしょうか。 ある匂いや香りを嗅いで、過去の記憶がまざまざと甦ってくることがあります。(香りの履歴現象とも呼ばれて います。)このような匂いや香りの存在は、人々の人生の記憶を再現してくれるばかりでなく、人間存在の本来の意味をも気付かせてくれるのかもしれません。  ホモ サピエンスという意味は、匂いを感じる、あるいは味と香気を受けるという意味であったそうですが、何か象徴的に思えます。  人間存在の再認識といいますと大げさですが、感覚ミュージアムにおける匂いや香りの体験が、自然の中で生かされていることの気付きとなりましたら幸いで す。